10年前にAさんが亡くなりました。
Aさんの相続人は妻のBさん・長男のCさん・長女のDさん。
Aさんの財産は、自宅不動産以外はほぼない状態でしたので、自宅不動産は妻のBさんが相続することにしました。
そして今回、Bさんが亡くなりました。
長女のDさんはずっと、母Bさんと同居して介護もしていたので、自宅不動産は自分がもらえるものだと思っていました。
その旨を兄であるCさんに告げると、「父さんが亡くなった時は何ももらわずに我慢したのだから、今回はちゃんと半分もらう。」と言われてしまいました。
Bさんの遺産は、自宅不動産の他は預金が僅かにあるだけです。Dさんは、自宅に住み続けたいので、売りたくはありません。どうすればいいのでしょう?
自宅不動産は2000万円、お金は200万円として、分け方を考えてみましょう。
「お金はCさん、自宅はDさん」という分け方です。二人が納得していれば、きっちり半分ずつでなくても問題はありません。ただ、自宅の価値が2000万円で、お金が200万円では、「半分もらう」と言っているCさんが納得しないですよね。喧嘩になるでしょう。
不動産を売ってお金に換えて分ける方法です。不動産が2000万円のお金になり、お金が200万円あるので、2200万円を半分ずつにします。ただ、Dさんは自宅不動産に住み続けたいので、Dさんが売却に反対なら、売ることは出来ません。
Cさんの取り分は、1100万円分です。200万円のお金をCさんに全部渡しても900万円足りません。この足りない900万円分をDさんが自腹で払うのです。
払えれば解決しますが、大抵の人は900万円を準備するのは難しいと思います。そこで、Cさんに分割での支払いをお願いする手もあります。家賃のように、毎月○万円を支払うのです。Cさんが分割払いでもいいよと言ってくれれば解決です。
しかし、Dさんがお金の心配をせずに自宅不動産をもらう方法もあります。
Bさんが、Dさんを受取人とした生命保険に加入しておくのです(Bさんの体調や年齢等の条件によっては加入できないケースがありますが、その場合は残念ですが諦めてください。)。
Cさんの不動産の取り分である1000万円を、生命保険金で準備しておいてあげるのです。不動産を長女にあげるのだから、生命保険金ぐらいは長男にあげたい。という親心はよくわかるのですが、長男を受取人にしてしまうと、別途長男は長女に不動産の取り分を請求出来てしまうので、ここは長女のために、受取人は敢えて長女にしてあげてくださいね。
自分が亡くなった後に家族が相続で揉めることがないよう、相続される人がしっかり準備しておいてあげてください。相続する側からは言い出し難いことですから。
残される家族への愛情表現だと思って考えてみませんか?